ハイエンドの製品や他分野との関わりで、技術のレベルを
進化させ、またデザインや新たな技術や応用を提案
 また、それらの装飾技術をもっと身近な商品やインテリア
装飾など 新たな分野に製品供給するプロジェクト


「 プロジェクト名 JAPAN DECO のこと 」


 JAPANは漆 まさかそんなことは通用するのは日本だけでしょう。DECOは今の流行を追ったつもりもありません。日本文字にしなかった事も訳があります。残念ながら日本の、商品情報にアンテナを張るバイヤーや、一般のデザイン業界、商業流通業界の人達での「漆芸 」の見方や捉え方に今までの経験や認識では、漆芸=工芸品=美術品 を連想して、それを飾る装飾技術も“伝統工芸”として特別扱いです。関わり難いものと先入観を持っている方がほとんどです。ですが“伝統工芸”のイメージを利用はするけど、なんらその技術の深さとこだわりの意味さえ掴んでいないのです。それは残念ながら産地の者でもそうですから、一概に非難は出来ません。

 直感的に見てきれいなものに感動をして行動を取ろうとするのは、海外のデザイン会社や取引のある会社、また世界のデザインや製品製作の技術に眼のある人達は、潜在的な価値や応用付加価値まで、すぐに見抜くのでしょう。6年ほど連続して海外見本市へ出展してみると、色々なことが見えてきました。もちろん海外と日本の状況が違うことがあるので仕方ないことでもあります。
  余談になりましたが、ですから先入観を持たずに“漆芸装飾技術”を漆器のイメージから解き放ち見ていただきたい。また海外の皆さんに評価された装飾だから、その皆さんが扱いやすいブランド名をと考えたのです


「 JAPAN DECO プロジェクトを立ち上げた訳 」

 長年の新商品や技術開発で産地の職人、しかも塗りや各専門職の技術がそろっている産地ならではのネットワークが組めてきた事や、他分野の協力や海外へも視野に入れていた事もあり、デザイン力の強化も必要で、海外でのデザイン経験の長いデザイナーの協力も得ることが出来たので、連携体を組み市場を考えた商品開発力を強める目的で、プロジェクトを立ち上げた。
 既存の市場が縮小する以前から、私達作る現場の者から見ても、産地の技術やものづくりがベストのかたちで市場に出ていない事。またデザインやイメージ先行の商品が出回る事。仲介者への情報が偏っているために、産地のものづくりの特徴などが正しくエンドユーザーに伝えられなくなっている事。また“漆”ほど品質規定の幅が大きい分野は無いのではないでしょうか それが曖昧な情報に繋がっていくのではないかと思います。
 最近では、漆は日本産はもちろん中国産の漆も将来漆を採取する人達が少なくなり、貴重な資源となっています。もちろん皆様もご存知のように、金の価格が従来の2倍ほどに高騰しています。

  私達はこの時代だからこそ、より質の良いものをベストなかたちで、紹介していく責務を負っていると思います。
流行りやデザインものはいつでも再興出来ますが、20年30年修練してようやく到達する技は、産地の財産であり、それが無くては製作できない“商品”が存在してこそ、技を持つ職人を残し得るのです。

インテリア装飾素材から装飾品まで幅広い商品構成を持つ為に、それぞれの製品や技術は、出来る限りベストな相手先を決めた事業展開を考えている。また相手先へ提供する技術の品質の高さ、また技術情報に対しては、産地のネットワークを生かして最高レベルのものを提供している。

「 海外見本市で得たこと 」

 メゾン&オブジェの6年間出展では、商品というより、漆芸の塗りをはじめ、漆の表面処理の専門技術、もちろん蒔絵や沈金の技術を装飾技術としてPRするなど、アルチザン(職人)の展示ブースであることをアピールした独自のスタイルを6年間通したのです。そこで得たことは大変大きなものがあります。日本からはJAPANブランドをアピールしていましたが、私達のブースでは、漆芸技術は日本の技術であるけれど、世界の装飾やデザインを手がけている人達が使える、世界が共有できる装飾技術で素材製品でもある事を、伝えていたのです。
 この様な方法や手法は、パリ在住で、世界から来ている研究者達と、化学研究をやっていて、しかもインターナショナルな展開をしている友人からのきつくもあるが、今思うと的確なアドバイスを活かそうと考えたことです。「待つのではなく、どんな技術があり、どんなことが出来るのか、訴えるのですよ。また積極的にボンジュー、アレジ(見てください)と声かけるのですよ。」そんな友人や、ブースアシスタントにも大変恵まれ、アメリカのブランド会社のマネージャー、カンヌの高級クルーザーや自家用ジェット機などの装飾を手がけるデザイン会社、1千万円を超える万年筆を売るパリの販社、など期待をもたれながら、その多くの期待に報いる為には、さらに製造の所をはじめ、日本からの流れを作り上げる事に取組んでいます。

 この様なハイエンドの製品に関わることは、装飾技術に更なる磨きをかける機会を持つため大切でありますが、一品ものや特注製作では、産地の製造におけるネットワークや、技術者の確保や育成には繋がらないということです。


「 JAPAN DECOの目標 」 
=ハイクラスの商品に関わりながら 品質の高い普及商品を市場に=

 ハイエンドの製品や他分野との関わりで、技術のレベルを維持し、またデザインや新たな技術を研究していく。それらの装飾技術をもっと手軽な商品等にもフードバックさせる。また、敬遠され気味であった建築インテリア関係にも素材製品を準備中です。
また、エンドユーザーのことを大切にし、心をつかんでいる販社や会社との提携は、日本の“工芸技術”が“商品”に関わることになり、技術の進歩や発展に繋がります。


「 JAPAN DECOの経過 」

  「ピアニストとの出会いがきっかけで海外に」のストーリー商品「蒔絵メトロノーム」を始め 様々な商品企画を生みだしています。
中でも 「CHINKIN DECO」※は パリ国際見本市メゾン・オブジェでも評価が高く、各分野から「デリケートな漆芸の手わざが、新しい光源の特性とマッチさせた新感覚な装飾テクニックだ」との引合いからも、応用性が高くまったく新しい装飾技術として市場が十分見込まれると認められ、経済産業省の平成21年度 地域資源活用事業に認定を受けた。



「 JAPAN DECOは職人のものづくりを支援 」

 JAPAN DECOは、塗り関係や各製造工程の専門職の職人ネットワークを有しています。けっして“伝統”というネーミングを利用しょうとも思いません。見た目できれいで、しかも品質良く、素敵なものがうまれる事を支援しています。それらはつくり手の深い思いやストーリを添えて市場に出していこうと考えています。それらはJAPAN DECOネットワークの職人達それぞれの自信作です。




パリ国際見本市単独出展を重ねるうち
知り合った、フランスのナイフ作家

ドイツ語の発音のポイントを教えてもらった
ガラスアーティストのブース

右側の万年筆はCARAN d'ACHE 1010
2千万円以上する世界限定10本が目の前にさりげなく

 

※< CHINKIN DECO >

「日本工芸の手わざ」+「あかり」と 「他分野とのコラボ」で新しい装飾の創造
伝統的工芸技術ならではの匠の手業によってのみ生み出される
レーザー技術やその他の彫り技術では成せない装飾表現。
あらたな光源との出会いが生んだプリズム イルミネーションの魅力から 「イルミラ 」と名称